著者:GATER KAZUKI
みなさん、こんにちは。GATER KAZUKIです。
今日も、頭にきていることを書きます。
「GT-Rってうるさいでしょ?」「なんか怖い感じしません?」
この2つのセリフ、セットでよく言われます。GT-Rに乗ったこともない人が、なんとなく言う。夜中に爆音で走る車を見た記憶だけで、わかった顔で言う。
はっきり言います。それも間違いです。
純正のGT-Rは、法規より余裕を持って作られている
まず「うるさい」について、数字で話します。
自動車の排気音には「近接排気騒音」という規制値があり、車検のたびに測定されます。R32・R33世代のGT-Rはこの規制値が103dBに設定されていました。これは当時の保安基準として定められていた数値です。
重要なのは、純正状態のGT-Rはこの規制値に対してかなり余裕を持って作られているという点です。実際にオーナーの間でも「純正はだいぶ法規より余裕を持ってるんだな」と語られるほど、ノーマルマフラーは静粛性に配慮した設計になっています。
では、なぜ「GT-Rはうるさい」というイメージが定着したのか。答えは単純で、社外マフラーに交換された個体を見た経験がベースになっているからです。車高を落として、タービンを交換して、マフラーを社外品に替える。そうしたチューニング車の轟音を聞いた記憶が、「GT-R=うるさい」というイメージにすり替わっています。
これは前回の「街乗りに向かない」と全く同じ構造です。チューニングされた個体の印象を、ノーマル個体の本質だと誤解している。
余談ですが、日産自身も現行R35でこの「音」の設計に真剣に向き合っています。2024年モデルでは車外騒音規制の強化に対応するため新しいマフラーを開発し、音圧を抑えながらも「スポーツカーらしい迫力」を両立させるという、ジェット機の排気音を参考にした調律まで行っています。静かにするだけなら簡単でも、迫力を残したまま静かにするのは、そう簡単な仕事じゃありません。GT-Rというクルマは、初代から現行まで、常に「音」に対して真剣なんです。
「怖い」の正体は、ATTESAへの誤解
次に「怖い」について。
これもよく聞く言葉です。「280馬力を4WDで捌くなんて怖くない?」「事故ったら大変そう」。
この誤解の正体は、ATTESA E-TSというシステムへの無理解にあります。以前の記事でも書きましたが、ATTESAは電子制御トルクスプリット4WDで、街中の日常域では基本的にFR的な挙動を保ちながら、滑りそうになった瞬間だけ前輪にトルクを配分するシステムです。
つまりATTESAは、パワーを「怖くする」ための装備ではなく、パワーを「安全に使わせる」ための装備です。むしろFR一辺倒のスポーツカーより、姿勢を崩しにくく、コントロールしやすい。「怖い」どころか、当時の技術の中では相当に懐の深い、扱いやすい方向に振られたクルマです。
「怖い」というイメージのもう一つの出どころは、おそらく走り屋文化やメディアが作った記号としてのGT-R像です。深夜の湾岸、覆面パトカー、伝説的なタイムアタック。そうした物語の中でGT-Rは常に「速すぎて危険な存在」として描かれてきました。でもそれは物語上の記号であって、クルマ本体の危険性とは別の話です。
「音」も「4WD」も、暴走のための装備ではない
整理すると、こうなります。
「うるさい」は、社外パーツによる改造の印象。「怖い」は、ATTESAという安全技術への誤解と、物語が作ったイメージ。どちらも、GT-Rというクルマそのものの設計思想とは関係のないところで生まれた誤解です。
901活動が目指したのは「ハンドリングで世界一」であって、「一番うるさくて一番怖いクルマ」ではありません。むしろ逆です。日常域でも安心して速く走れることを、開発陣は本気で目指していました。
最後に
GT-Rを「うるさくて怖いクルマ」だと思っている人に、一度ノーマルの個体を見て、乗ってほしい。
静かに、そして自然に街を流れる純正の排気音。ATTESAが作り出す、拍子抜けするほど素直なハンドリング。イメージと実物の間にあるギャップに、きっと驚くはずです。
「GT-Rはうるさくて怖い」——その言葉を次に聞いたとき、ぜひこの記事を思い出してください。
以上、GATER KAZUKIでした。
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