30年前の「純正」は、実はとんでもない名品だった
R32 GT-Rのシートに深く腰を下ろし、ステアリングを握る。このコクピットの空気感を決定づけているのは、紛れもなくあの純正ステアリングです。
当時のR32純正ステアリングは、非常に丁寧な作りをしていました。
ハンドルを一周、継ぎ目を感じさせない革巻きの仕上がりは、当時の職人と車体メーカーのこだわりを感じさせるものです。
しかし、どれほど素晴らしい名品であっても、30年以上という年月には勝てません。どうしても革はボロボロになり、テカリや擦り切れとして僕たちの視界にノイズを混ぜ込んできます。

「張り替え」という地獄の作業
ステアリングが傷んだとき、多くのオーナーが最初に考えるのは「業者に頼んで革を張り替えてもらう」ことでしょう。しかし、ここに大きな落とし穴があります。
あの素晴らしい「継ぎ目のない純正の革」ですが、いざ張り替えようとすると、元の劣化した革を芯材から綺麗に剥がすのが、本当に、気が遠くなるほど大変なのです。 綺麗に剥がしきれなければ新しい革は綺麗に張れず、かといって力任せにやればウレタンのベースごと傷めてしまう。ボロボロの純正をベースにして再生を試みるのは、費用も時間も、そして施工者の労力も莫大にかかる「現実的ではない選択」になりつつあります。
ステッチは違う。でも、空気は絶対に壊さない
だからこそ、僕たち GENUINE TREND REPRODUCTION(GTR) は「新品のステアリングを一から作る」という道を選びました。
ここで正直にお伝えしておきます。 僕たちのステアリングは、純正のような「一本込み(継ぎ目なし)」ではありません。製法の違いから、ステッチの入り方も純正とはまったく異なります。当時の量産車とは思えないほどの作り込みを、そのまま再現することは、現代の生産背景では非常に難しいものでした。
しかし、だからといって「適当な代替品」を作ったわけではありません。 ステッチの入り方が違っても、一本込みではなくても、「R32のコクピットに装着したときの、あの張り詰めた空気感」だけは絶対に壊さない。その一点に、僕たちは全力を注ぎました。
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握り心地と質感: 当時のシボ感に近い上質なレザーを採用し、新しいけれど浮かない、絶妙な半艶の光沢を持たせました。
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純正同等のオフセット: ドライビングポジションを一切崩さない。機能としての役割を全うしつつ、景色に溶け込むことを最優先としています。

古いステアリングの革を泣きながら剥がす苦労から解放され、新品のレザーの感触を、いつものドライビングポジションで味わうことができる。
「完全に同じ」ではないからこそ、現代の技術で美しく仕立て直したこのステアリングは、あなたのGT-Rをこれからも長く、気持ちよく走らせるための「最も賢明で、最も美しい選択」になるはずです。
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