あの「ワシマイヤー製」の本当の凄さとは
R32 GT-Rの純正ホイールといえば、誰もが知るワシマイヤー製の鍛造16インチです。 神格化されている部分もありますが、正直に言えば、あのホイールは決して「超軽量」というわけではありませんでした。あのホイールの本当の凄さは、強度の高い鍛造でありながら、あの深みのある曲線スポーク形状を実現していたという「斬新なデザイン」にあります。
鍛造なのに、あの彫りの深い立体的な造形美を持っている。それがとにかく格好良かったのです。当時の車体メーカーとサプライヤーの執念には、今でも驚かされるばかりです。
17インチではなく、あえて「2段階進化」を選んだ理由
現代の道路環境やタイヤ事情に合わせて純正ホイールをアップデートしようと考えたとき、16インチからの「正統進化」を辿るなら、本来は17インチが妥当でしょう。
しかし、R32が誕生してからすでに30年以上の年月が経ちました。現代のスポーツカーが履くスタンダードなサイズは、もはや17インチではなく18インチへと完全に移行しています。 だからこそ、今この時代に新しく設計し直すのであれば、当時のままの16インチでもなく、1つ上の17インチでもない。現代のブレーキやタイヤのポテンシャルを最大限に引き出せる「2段階進化」の18インチこそが、最も妥当で必然的な選択となるのです。

解析ソフトのまやかしでは超えられない「鍛造の壁」
では、その18インチをどうやって作るのか。 「純正が鍛造だったのだから、18インチも鍛造で作るべきだ」 最初は僕たちもそう考えました。しかし、ここで一つの巨大な壁にぶつかります。
あの純正特有の「深みのある曲線スポーク形状」を18インチの鍛造で再現するには、実に7000トンクラスの超大型・高圧鍛造プレスマシンが必要になってくるのです。 「最新の解析ソフトを使えばなんとかなる」なんていうのは、現場を知らない人間のまやかしです。物理的な成形のハードルは、PC上のデータだけではどうにもなりません。鍛造でこれを一から作れば途方もないコストがかかり、とても現実的な価格でお届けすることは不可能なのです。
「フローフォーミング製法」という現代のブレイクスルー
そこで僕たち GENUINE TREND REPRODUCTION(GTR) が着目したのが、現代のホイール製造における新たな技術革新でした。
30年前の常識では、「鋳造=重くて弱い」というイメージだったかもしれません。しかし今は違います。鋳造でありながら、リム部をローラーで強力に引き延ばしながら成形する「フローフォーミング製法」という技術が誕生したからです。 この製法により金属組織が鍛造のように密になり、鋳造ならではの「造形の自由度(あの深い曲線の再現)」を活かしたまま、鍛造に迫る軽さと高性能を手に入れることが可能になりました。
純正が鍛造だったからといって、無思考に鍛造にこだわる必要はありません。 「あの深みのあるデザインを崩さず、18インチ化し、現代の走行性能に耐えうる軽さと強度を持たせる」という目的において、フローフォーミング製法を採用した現代の鋳造技術は、最も理にかなった最高のアプローチでした。
あの頃の情熱が詰まったデザインを、30年分の技術革新で裏打ちする。 この18インチホイールは、あなたのR32を現代の道路環境で、安全かつ美しく走らせるための「必然のアップデート」なのです。
Share:
