著者:GATER KAZUKI
みなさん、こんにちは。GATER KAZUKIです。
前回の記事でポール・ウォーカーとR32の話を書きましたが、「で、そのR32は実際どんな仕様だったの?」という部分に触れていませんでした。今回はそこだけを掘り下げます。
結論から言うと、かなりちゃんとしたサーキット仕様です。「俳優が持っていた話題性だけの車」ではない。そのことを最初に言っておきます。
まずベース車両の確認から
オークションに出品されたのは1989年型のBNR32、つまり初期型のR32 GT-Rです。カラーはガングレーメタリック(KH2)。R32の中で最も多く生産された定番色ですが、サーキット仕様に仕上げられたこの個体はまったく「定番」ではありませんでした。
エンジンはもちろんRB26DETT、2.6リッター直列6気筒ツインターボ。ミッションは5速マニュアル。アテーサE-TSによるAWDというR32 GT-Rの基本構成をベースに、サーキット走行に向けた手が入っています。
確認できているカスタム仕様
バレット・ジャクソンのオークション公式資料と各媒体の記録から確認できているカスタム内容は以下の通りです。
まずエンジン・パワートレイン系。HKSとA'PEXiのパーツが組み込まれています。具体的な仕様の詳細は公開資料からは読み取れませんが、この2ブランドの組み合わせはR32のエンジンチューニングとしては王道中の王道です。HKSはタービン・エキマニ・吸排気系、A'PEXiはECU・サスペンション系で多くの実績を持つ。ここに手が入っているということは、ノーマルのRB26DETTからそれなりに出力が上がっていると考えるのが自然です。
次にブレーキ系。ホイールはエンケイのRPF1(ブラック)。このホイール、サーキット走行をする人間なら説明不要だと思いますが、軽量性と強度のバランスが優れた定番の競技用ホイールです。そしてブレーキキャリパーはエンドレス製。エンドレスはブレーキシステムの専門メーカーで、サーキットユースでの信頼性は国内トップクラスです。「見た目だけチューニング」ではなく、ブレーキという最も重要な部分にちゃんとお金をかけている。これは好感が持てます。
そして内装。完全にストリップされています。つまり内装材は全撤去。さらにフルロールケージが組まれています。
この3点セット——内装撤去、ロールケージ、競技用ブレーキ——が揃っていれば、これは「サーキットで使うために作った車」として疑いようがありません。

この仕様から読み取れること
私がこのカスタム内容を見て思うのは、ウォーカーはこの車を本当に走らせるつもりで仕上げていたということです。
俳優が話題性のために購入したJDM車というのは、世の中にたくさんあります。でも内装を全部剥がしてロールケージを組むというのは、見せるための作業ではない。重量を削り、万が一のクラッシュに備えるためのものです。エンドレスのキャリパーをつけるのも、街乗りには不要な選択です。
ウォーカーのコレクションの中にはBMW E36 M3ライトウェイトが7台含まれていましたが、そのM3ライトウェイトもBMWがサーキット走行のために作ったホモロゲーションモデルです。R32も含め、彼のガレージには「走るための車」が集まっていた。そこに一貫性があります。
落札価格$100,100という数字について
通常のR32の相場が$20,000〜$75,000程度の中、この個体は$100,100で落札されました(バイヤーズプレミアム別)。
「ウォーカーが所有していたプレミアム」という要素は当然あります。でもそれだけではなく、サーキット仕様として完成度が高かったことも価格に反映されていると私は思っています。HKS・A'PEXiのチューニング、エンドレスのブレーキ、エンケイRPF1、フルロールケージ。これを一から揃えると、それなりの金額になります。
「ウォーカーの車だから高かった」ではなく、「ちゃんとした車だったから、ウォーカーの所有歴が乗っかってさらに高くなった」という順番の方が正確だと思います。
なお売上はすべてウォーカーの娘メドウのための信託に充てられています。
まとめ
ポール・ウォーカーのR32は、飾り物ではありませんでした。
ガングレーのボディにフルストリップの内装、ロールケージ、HKS・A'PEXiのエンジンチューニング、エンドレスのブレーキ、エンケイRPF1。どこを見ても「走るために作った車」の仕様です。
スカイラインへの興味がR32との出会いから始まり、自分でR32を手に入れて、サーキット仕様に仕上げて走らせていた。その事実を知ったうえでウォーカーのことを「本物のカーガイ」と評した The Drive の表現は、やはり正しかったと思います。
以上、GATER KAZUKIでした。
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